青森県を中心に秋田県まで広がる白神山地は、1993年に世界遺産登録された地域です。今回は、白神山地の見どころや楽しみ方をご紹介します。
白神山地の歴史と特徴
歴史
白神山地に人間が住み始めたのは、縄文時代からであるといわれています。しかし、白神山地は木材の消費地から遠いこともあり、江戸時代になっても開拓されることはありませんでした。1950年代から始まる高度経済成長を支える木材の供給地として注目され、1954年に白神山地という名前が付けられたといわれています。その後、1980年代に林道開発計画と激しい反対運動を経て、1993年に世界遺産に登録されました。
特徴
秋田県北西部と青森県南西部にまたがる約130,000haの広大なブナ林が広がります。人の手をほとんど受けていないブナの天然林は世界でも珍しく、東アジアでも最大級の規模を誇ります。白神山地のブナ林は、他の森と比べても豊富な生態系を維持しているほか、水源涵養機能や地表浸食防止機能なども高く、学術的にも極めて重要な場所であると高い評価を受けています。
動植物
白神山地で初めて発見された植物はひじょうに多く、学術的な視点から重要な拠点とされています。また、哺乳類や鳥類といった動物の中にもレッドデータブックに登録されているため、他の地域では観察が難しい動物も生息しています。
白神山地を登るときに注意しておきたい点
服装
服装は、トレッキングシューズとリュックサック、そしてカッパがおすすめです。また、軍手やタオル、携帯食などのグッズも持っていくと良いでしょう。山の天気はひじょうに変わりやすいので、一枚多く上着を持っていくことをおすすめします。
地域
白神山地は核心地域と緩衝地域に区分されています。通常みることができるのは緩衝地域ですが、核心地域の中でも、青森県側の指定ルートは、入山手続きなどをすれば登山できます。ただし、登山の難易度もひじょうに高く、十分な訓練を受け多くの知識を有した登山家でも危険な状況になることもあります。特に核心地域はルートの整備を行っていないため要注意です。
白神山地の見どころ
くろくまの滝
赤石川の中流に位置するくろくまの滝は、「日本の滝百選」にも選ばれているスポットです。滝に至る歩道は整備されているものが多いため、登山の初心者でも安心して楽しめます。滝の高さは85m、水量も四季問わず多いため、周りの自然と調和した光景を見られます。
十二湖
青森県側の西部に位置する33の湖沼群を十二湖といいます。青色の池がとくに有名です。十二湖までの登山路は少し急になっているため、トレッキングシューズを用意しておくことをおすすめします。
赤石川渓流
赤石川渓流は山女魚や岩魚で有名で、釣りを楽しめるスポットです。紅葉の名所としても知られており、自然の豊かさを体いっぱいに感じることができるでしょう。
太良峡
太良峡は激流によってつくられた渓谷で、周りに怪石が並ぶ、大小の滝からなるひじょうに美しい渓谷です。藤琴川沿いに遊歩道があるので、登山の初心者でも安全に自然を楽しむことができます。
美山湖
美山湖は白神山地の中にある目屋ダムでせき止められた人造湖です。展望台もあるため、白神山地でも抜群の景勝地として多くの観光客が訪れます。
白神山地のコースについて
散策コース
散策コースは所要時間が最短で15分ほどと短く登山初心者でも安心して中に入れるコースです。とはいえ、足元が不安定な場所もたくさんあるので、靴や服装には注意が必要です。散策コースでは、日本の滝百選に選ばれているくろくまの滝を巡るコース、白神山地の雄大な景色を見られるコースなどがあります。
登山コース
簡単に登山が楽しめる散策コースとは別に、所要時間5時間を超える登山コースもあります。最短でも2時間半と、ある程度の装備が必要なコースです。登山コースでは、天狗岳を目指すコースや十二湖の景色を見られるコースなどがあります。
さいごに
1993年に世界遺産に登録された白神山地。雄大な景色を眺められるほか、登山を楽しめる観光スポットです。駐車場から徒歩約15分で自然を感じられる散策コースもあるので、青森県や秋田県へ旅行しに出かけた際は行ってみてはいかがでしょうか。