本物の歴史好きならココ！沖縄の世界遺産・中城城跡

首里城をはじめ琉球王国には300余りのグスク（城）があったといわれており、その中でも戦争などの被害が少なく、もっとも保存状態に優れているのが「中城城跡（なかぐすくじょうあと）」です。復元された煌びやかな首里城も素晴らしいですが、中城城跡は歴史好きの方におすすめの観光スポットです。今回は、沖縄の中城城跡の見どころについてご紹介します。

中城城跡ってどんなところ？

沖縄本島中部に位置する中城城跡は、標高150～170mの丘陵地帯に直線状に広がる山城です。地理的条件を活用した攻撃されにくい巧みな構成をしており、南東側は荒々しい断崖、北西側は急勾配の坂道となっています。
6つの郭（くるわ）があり、琉球石灰岩の見事な城壁が美しい曲線を描き、そのロマンあふれる風景も観光客を魅了しています。

築城年代は定かではありませんが、14世紀後半に先中城按司が何世代かに渡って築いたといわれています。その後1440年頃、王府の命により移ってきた護佐丸（ごさまる）によって、北の郭、三の郭が増築されたとみられています。護佐丸が1458年の自刃した後は、彼の子孫である王子の居城、近代には中城村役場として機能していたそうです。ちなみに、何度か増築を繰り返した痕跡は、異なる3種類の石積みによって推測されています。

戦争によって沖縄県内に点在するグスク（城）は大きな被害を受けましたが、中城城跡はほぼ焼失することなく原型が残っており、歴史的価値の高い遺構と評価されています。2000年12月には、首里城跡や斎場御嶽（せーふぁーうたき）などとあわせて「琉球王国のグスク及び関連遺産群」として世界遺産に登録されています。

中城城跡の見どころをご紹介

中城城跡を回る際は、時代ごとに異なる3種類の石積み（野面積み・布積み・相方積み）の違いをチェックしながら見学するのがおすすめです。それでは基本的な見学コース、裏門～正門までの中城城跡の見どころをご紹介します。

ペリーが絶賛！裏門

北東に向かって建築された「裏門」は約550年以上前のものだといわれています。沖縄県内のアーチ門の中でも極めて大きく、その巧みな技術を現在でも見ることができます。1853年、日本の開国をすすめるアメリカのペリー提督一行が訪れた際、この美しく精巧な石造建造物を賞賛したと伝えられています。

中城城跡の特徴！大井戸

「大井戸（ウフガー）」は、護佐丸が増築したとされる「北の郭」にある井戸です。発掘調査により排水溝も発見されました。城郭内に水を保持して籠城に備え、貴重な井戸を守るために北の郭が造られたと推測されています。ちなみに、「西の郭」にはもうひとつの井戸「夫婦井戸（ミートゥガー）」があります。

オシャンビューも！二の郭

「二の郭」は中城城跡の6つの郭のなかでもっとも広く、かつて正殿があった場所といわれています。そのため見晴らしの良い絶好の写真スポット。大海原を背景に、美しく曲線を描く長い城壁が続いています。石積みは「布積み（豆腐積み）」と呼ばれる技法で、直方体に削った石がブロック状に積み上げられています。

中城城跡の神聖なスポット！南の郭

「南の郭」には城内のなかでも極めて神聖な場所です。遠くの首里王を礼拝するための「首里遙拝所」、琉球国の開祖アマミキヨが降臨したとされる神の島・久高島（くだかじま）を拝む「久高遙拝所」、雨乞いを目的とした拝所など、8つの拝所があります。今でも地元の方が足を運ぶ神聖な場所なので、静かに見学しましょう。南の郭の石積みは「野面積み」。未加工の自然の岩や石を積み上げたもっとも古い方法といわれています。