国内線の飛行機で液体を預ける際、「これって大丈夫?」と不安になった経験はありませんか?国際線ほど厳しくないとはいえ、スムーズな搭乗のためには知っておくべきルールがあります。このガイドでは、国内線の預け荷物における液体制限の全知識を網羅。化粧品、お酒、洗剤など、具体的な品目ごとの注意点や容量・度数制限、さらには液漏れ対策まで徹底解説します。手荷物検査で引っかかることなく、安心して国内旅行を楽しめるよう、あなたの疑問を全て解消しましょう。
1. 飛行機の液体制限は国内線と国際線でどう違う?
2. 国内線で「預け荷物」として注意が必要な液体一覧
3. 国内線での液体の「機内持ち込み」と「預け荷物」の違い
4. 飛行機に液体を預ける際の準備と確認事項
5. まとめ
1. 飛行機の液体制限は国内線と国際線でどう違う?
飛行機を利用する際、液体の持ち込みや預け入れに関するルールは、国内線と国際線で大きく異なります。 特に国際線は国内線に比べて制限が厳しく、普段使用している製品や食べ物でも液体物として扱われる場合があるため、注意が必要です。
1.1 国内線は比較的緩やか!基本は危険物でなければOK
国内線の液体物に関する制限は、国際線と比較して比較的緩やかです。基本的には、危険物に該当するものでなければ、機内に持ち込むことも、預け荷物として預けることも可能です。
ただし、一部の液体物には容量や重量の制限が設けられています。例えば、化粧品類や医薬品、アルコール飲料などです。これらの品目が制限を超過している場合、手荷物検査の際にその場で放棄(捨てる)必要が生じるため、事前に確認しておくことが重要です。
詳細な危険物の定義や持ち込み制限については、国土交通省のウェブサイトなどで確認できます。
1.2 国際線は液体物の制限が厳しい!機内持ち込みは特に注意
国際線の液体物に関する制限は、国内線と比べて非常に厳格です。国際線では、水分を含むものはすべて液体として扱われるため、思わぬものが液体物とみなされることがあります。
例えば、ヘアワックス、歯磨き粉、缶詰、プリン、漬物、修正液、万年筆のインクなども液体物として扱われる場合があります。これらの制限を超える液体物は、保安検査場で破棄する必要があるため、特に機内持ち込みの際は細心の注意が必要です。
国際線での液体物の機内持ち込みには、以下の厳格なルールが適用されます。
項目 | 内容 |
容器の容量 | 100ml(または100g)以下の容器に入っていること |
収納方法 | 全ての容器を、1L以下のジッパー付き透明プラスチック袋にまとめて入れること |
袋のサイズ | 縦横の合計が40cm以内(目安:20cm×20cm程度)の袋を使用すること |
持ち込み個数 | 1人につき1袋のみ |
このルールは、航空機テロ対策の一環として国際的に定められているものです。預け荷物(受託手荷物)については、機内持ち込みほどの厳格な制限はありませんが、危険物や引火性のあるものについては、国内線と同様に制限があります。
国際線の液体物に関する詳細な情報も、国土交通省のウェブサイトで確認できます。
2. 国内線で「預け荷物」として注意が必要な液体一覧
国内線においては、国際線と比較して液体の制限が比較的緩やかですが、それでも安全運航のために特定の液体については預け荷物(受託手荷物)としても制限が設けられています。これらの制限は、主に危険物としての性質や、容器の破損による影響を考慮したものです。ここでは、特に注意が必要な液体について詳しく解説します。
2.1 容量・重量制限がある化粧品類(0.5L/0.5kg以上)
化粧水、乳液、香水、マニキュア、除光液、育毛剤、制汗スプレーなどの化粧品類や医薬品(非放射性のもの)は、一個の容器が0.5リットルまたは0.5キログラム以下であれば、預け荷物として持ち込むことができます。ただし、一人あたり合計2リットルまたは2キログラムまでという総量制限があります。
特に注意が必要なのは、この制限を超えるサイズの容器です。例えば、業務用の大容量化粧水や、複数の製品を合計した際に総量制限を超える場合です。これらの製品は、たとえ無害な液体であっても、容量・重量制限を超えると預け荷物として受け付けてもらえません。旅行先での使用量や期間を考慮し、適切なサイズの容器に詰め替えるか、現地での購入を検討しましょう。
また、スプレータイプの製品は、噴射弁が偶発的に作動しないよう、キャップを取り付けるか、適切な保護措置を講じる必要があります。
品目 | 容器あたりの制限 | 一人あたりの総量制限 | 備考 |
化粧水、乳液、香水、マニキュア、除光液、育毛剤、制汗スプレーなど | 0.5リットルまたは0.5キログラム以下 | 合計2リットルまたは2キログラムまで | スプレータイプは噴射弁の保護必須 |
医薬品(非放射性のもの) | 0.5リットルまたは0.5キログラム以下 | 合計2リットルまたは2キログラムまで | 処方箋や診断書は不要だが、提示を求められる場合あり |
2.2 アルコール度数70%を超えるお酒
お酒は一般的に預け荷物として持ち込めますが、アルコール度数によって制限が異なります。特に注意が必要なのは、アルコール度数が高いお酒です。
- アルコール度数24%以下のお酒:制限なく預け荷物として持ち込めます。一般的なビール、ワイン、日本酒などが該当します。
- アルコール度数24%を超え70%以下のお酒:一人あたり合計5リットルまで預け荷物として持ち込めます。ウイスキー、ブランデー、焼酎、ウォッカなどが該当します。
- アルコール度数70%を超えるお酒:引火性が非常に高いため、預け荷物としても機内持ち込みとしても持ち込むことはできません。アブサンやスピリタスなど、非常に高アルコールの製品がこれに該当します。旅行先で高アルコール度数のお酒を飲みたい場合は、現地での購入を検討するか、お土産として購入する際もアルコール度数を確認するようにしましょう。
未開封であること、小売販売されている容器に入っていることが条件となります。手作りの梅酒や自家製の果実酒など、未開封でないものや小売販売されている容器に入っていないものは、トラブルを避けるためにも避けるのが賢明です。
2.3 「塩素系」や「混ぜるな危険」表示の洗剤
家庭用洗剤の中でも、「塩素系」や「混ぜるな危険」といった表示がある製品は、腐食性や有害ガス発生の危険性があるため、預け荷物としても機内持ち込みとしても持ち込むことができません。これらの洗剤は、他の物質と混ざることで有毒ガスを発生させたり、容器が破損した場合に周囲の荷物や機体に損害を与える可能性があるため、航空機への持ち込みが厳しく制限されています。
例えば、トイレ用洗剤、カビ取り剤、パイプクリーナーなどにこれらの表示が見られます。旅行や出張で洗剤が必要な場合は、「中性」表示のあるものや、旅行用の固形石鹸、シートタイプの洗剤など、危険物の表示がない製品を選ぶようにしましょう。どうしても液体洗剤が必要な場合は、現地での購入を検討してください。
2.4 引火点に注意が必要な接着剤
接着剤は、その種類によって引火点が異なり、航空機での取り扱いが制限される場合があります。引火点とは、物質が炎を近づけたときに引火する最低温度のことです。引火点が低いほど引火しやすく、危険性が高いとみなされます。
- 引火点が摂氏60度を超える液体状の接着剤:預け荷物として持ち込むことができます。一般的な木工用ボンドや、引火点が比較的高いとされる接着剤がこれに該当します。
- 引火点が摂氏60度以下の接着剤:引火性が高いため、預け荷物としても機内持ち込みとしても持ち込むことはできません。シンナーやアセトンを多く含む強力な接着剤、瞬間接着剤の一部などがこれに該当する場合があります。
接着剤の種類は多岐にわたるため、持ち込みたい接着剤の引火点が不明な場合は、製品の成分表示を確認するか、事前に航空会社に問い合わせて確認することを強く推奨します。趣味や仕事で特殊な接着剤を使用する際は、特に注意が必要です。
2.5 その他の注意点(医薬品など)
2.5.1 医薬品
液体状の医薬品(目薬、点鼻薬、液体胃腸薬、インスリンなど)は、個人の使用に必要な量であれば、機内持ち込み・預け荷物ともに可能です。ただし、処方箋や診断書の提示を求められる場合があるため、医師からの指示書や薬剤証明書などを携帯しておくと安心です。特にインスリン注射器や針など、医療器具を伴う場合は、事前に航空会社に連絡し、持ち込み方法や必要な書類について確認しておくことをお勧めします。
2.5.2 ヘアスプレー・制汗スプレーなどのエアゾール製品
化粧品類に分類されるヘアスプレーや制汗スプレーなどのエアゾール製品は、一個の容器が0.5リットルまたは0.5キログラム以下で、かつ一人あたり合計2リットルまたは2キログラムまでであれば、預け荷物として持ち込めます。ただし、噴射弁が偶発的に作動しないよう、キャップを取り付けるか、適切な保護措置を講じる必要があります。引火性ガスを使用しているもの(LPGなど)は特に注意が必要です。
2.5.3 電子タバコ用リキッド
電子タバコ(VAPE)のリキッドは、機内持ち込みは可能ですが、預け荷物としては原則禁止されています。これは、リチウムイオンバッテリーを内蔵する電子タバコ本体が預け荷物として禁止されているため、それに付随するリキッドも同様の扱いとなることが多いためです。万が一、預け荷物に入れたリキッドが破損・液漏れした場合、他の荷物への影響も懸念されます。必ず機内持ち込み手荷物として携行するようにしましょう。
詳細については、利用する航空会社の規定を国土交通省のウェブサイトや各航空会社の公式ウェブサイトで確認することをお勧めします。
3. 国内線での液体の「機内持ち込み」と「預け荷物」の違い
国内線における液体の取り扱いは、国際線に比べて比較的緩やかですが、「機内持ち込み」と「預け荷物」では、それぞれ異なるルールが適用されます。特に、容量や種類によっては、どちらか一方しか認められない、あるいは全く持ち込み・預け入れができないケースもあります。ここでは、国内線で液体を運ぶ際の具体的な違いについて詳しく解説します。
3.1 機内持ち込みが可能な液体、預け荷物のみ可能な液体
国内線では、多くの液体が機内持ち込み、または預け荷物として運ぶことが可能です。しかし、一部の液体には容量や種類による制限があり、どちらか一方、あるいは両方で運べない場合があります。
まず、基本的なルールとして、危険物に該当しない液体であれば、国内線では比較的自由に運ぶことができます。 ただし、以下の点に注意が必要です。
3.1.1 機内持ち込み・預け荷物どちらも可能な液体(容量・個数制限あり)
以下の液体は、決められた容量や個数の範囲内であれば、機内持ち込み・預け荷物の両方で運ぶことができます。
- 化粧品・医薬品類(非放射性のもの): 化粧水、乳液、香水、マニキュア、除光液、育毛剤、消毒液、うがい薬、液体の風邪薬など。
これらは、1容器あたり0.5リットルまたは0.5キログラム以下で、かつ1人あたり合計2リットルまたは2キログラムまでであれば、機内持ち込み・預け荷物のどちらでも可能です。スプレー缶タイプの化粧品(ヘアスプレー、制汗スプレーなど)も、この条件に準じます。
- アルコール飲料:
アルコール度数によって扱いが異なります。
- アルコール度数24%以下のもの: 容量の制限なく、機内持ち込み・預け荷物どちらも可能です。
- アルコール度数24%を超え70%以下のもの: 1人あたり合計5リットルまでであれば、機内持ち込み・預け荷物どちらも可能です。
3.1.2 預け荷物のみ可能な液体、または持ち込み・預け入れができない液体
次に示す液体は、その性質上、機内持ち込みが制限されたり、場合によっては預け荷物としても運べなかったりする場合があります。
液体・物品の種類 | 機内持ち込み | 預け荷物 | 備考・注意点 |
アルコール度数70%を超えるお酒 (例: スピリタス、アブサンなど) |
不可 | 不可 | 引火性が非常に高いため、一切運ぶことができません。旅行先での購入や持ち帰りには特に注意が必要です。 |
「塩素系」や「混ぜるな危険」表示の洗剤 (例: 漂白剤、強力なパイプクリーナーなど) |
不可 | 不可 | これらは危険物(腐食性物質)に該当するため、機内持ち込み・預け荷物ともに禁止されています。 |
接着剤 | 不可 | 条件付きで可 | 引火点が摂氏60℃を超える液体状の接着剤は預け荷物として運べますが、それ以外の接着剤は引火性が高いため、機内持ち込み・預け荷物ともにできません。 |
その他の引火性液体 (例: ガソリン、灯油、ライターオイル、シンナー、ペンキなど) |
不可 | 不可 | これらは航空法で厳しく規制されている危険物であり、一切運ぶことができません。 |
毒物・劇物 (例: 農薬、殺虫剤、一部の消毒液など) |
不可 | 不可 | 航空機の安全を脅かす可能性があるため、持ち込み・預け入れともに禁止されています。 |
上記以外にも、航空会社や空港の判断で持ち込み・預け入れが制限される場合があります。不安な場合は、必ず事前に利用する航空会社に確認しましょう。
3.2 空港で購入したお酒や飲み物の扱い
空港内の店舗で液体を購入した場合の扱いは、購入する場所によって異なります。
- 保安検査場通過前に購入した液体:
保安検査場通過前に購入したお酒やジュースなどの液体は、前述の機内持ち込み制限(特に国際線の場合)の対象となります。国内線であれば、通常はそのまま機内に持ち込めますが、アルコール度数や容量の大きな化粧品類などは、預け荷物としてのルールに準ずる場合があります。基本的には、保安検査場通過前の液体は、預け荷物に入れるか、機内持ち込み制限に合致させる必要があります。
- 保安検査場通過後に購入した液体:
搭乗ゲート付近にある売店(出発ロビー内)で購入したお酒や飲み物、化粧品などは、すでに保安検査を通過したエリアでの購入品となるため、容量に関わらず機内へ持ち込むことができます。「機内で飲みたい」「すぐに使いたい」といった場合は、このエリアでの購入が安心です。
ただし、過度な量の購入や、他のお客様の迷惑となるような持ち込みは避けるようにしましょう。
4. 飛行機に液体を預ける際の準備と確認事項
4.1 容器の保護は必須!液漏れ対策
国内線で液体を預け荷物に入れる際、最も重要な準備の一つが液漏れ対策です。飛行機の貨物室では、気圧の変化や荷物の移動により、容器が破損したりキャップが緩んだりして、中身が漏れ出すリスクがあります。万が一液漏れが発生すると、ご自身の荷物だけでなく、他の乗客の荷物まで汚損してしまう可能性があり、トラブルの原因となることも。大切な荷物を守り、安心してフライトを楽しむためにも、適切な梱包を心がけましょう。
液漏れを防ぐための具体的な対策としては、以下の点が挙げられます。
- キャップや蓋の徹底的な締め付け:使用する容器のキャップや蓋がしっかりと閉まっているか、出発前に必ず確認しましょう。特に、使いかけの製品や簡易的な容器は注意が必要です。
- 二重包装の実施:密閉性の高いジッパー付きビニール袋や専用のポーチに個別の容器を入れ、さらにそれを大きな袋で包むなど、二重に保護することで万が一の液漏れにも対応できます。
- 緩衝材の活用:容器の周囲をタオルや衣類、エアキャップ(プチプチ)などの緩衝材で包むことで、外部からの衝撃による容器の破損を防ぎます。
- 噴射弁の保護:スプレー缶やポンプ式の容器は、誤って噴射弁が押されないように、専用のカバーをつけたり、テープで固定したりするなどの措置をとりましょう。
特に注意が必要な液体と対策の例を以下の表にまとめました。
液体の種類 | 主な注意点 | 推奨される対策 |
化粧水、シャンプー、ボディソープなど | ポンプ式やフリップキャップ式の容器は緩みやすい。 | ポンプ部分をロックするか、テープで固定する。 ジッパー付きビニール袋に個別に収納し、さらに密閉性の高い袋に入れる。 |
香水、マニキュア、除光液など | ガラス容器が多く、衝撃に弱い。揮発性があるものも。 | 容器を緩衝材で厳重に包む。 破損防止のため、硬いケースに入れることも検討する。 |
医薬品(液体) | 処方薬は特に、破損や紛失が問題となる。 | 頑丈な容器に入れ、液漏れ対策を徹底する。 必要に応じて、医師の診断書や処方箋のコピーを携帯する。 |
アルコール飲料(規定内) | ガラス瓶が多く、破損しやすい。 | 購入時の箱や専用の保護材を活用する。 緩衝材で包み、スーツケースの中央など安定した場所に配置する。 |
4.2 不安な場合は事前に航空会社へ確認を
「この液体は預けられるのだろうか?」「特別な準備は必要か?」など、不明な点や不安がある場合は、搭乗する航空会社に事前に確認することが最も確実な方法です。航空会社によっては、独自の規定を設けていたり、時期によってルールが変更されたりする可能性もゼロではありません。
確認は、各航空会社の公式ウェブサイトの「手荷物規定」や「よくある質問」のページで確認できるほか、カスタマーサービスに電話で問い合わせることも可能です。特に、大量の液体や特殊な液体(医療用酸素、スポーツ用品のオイルなど)を預ける場合は、必ず事前に相談しましょう。
主要な航空会社のウェブサイトへのリンクを以下に示します。
5. まとめ
国内線における液体の預け荷物に関する制限は、国際線に比べて比較的緩やかです。しかし、安全な空の旅のためには、いくつかの重要な注意点を理解しておく必要があります。特に、容量が0.5L/0.5kgを超える化粧品やアルコール度数70%を超えるお酒、引火点に注意が必要な接着剤、そして「混ぜるな危険」表示のある塩素系洗剤などは、預け荷物であっても特別な確認や制限の対象となります。液漏れ対策を徹底し、不明な点があれば利用する航空会社に事前に確認することで、手荷物検査で戸惑うことなく、スムーズで快適なフライトをお楽しみいただけます。